台湾華語学習を始めて3ヶ月後、やっと最初の台湾華語の学習本を購入しました。
それまでは基礎の発音練習やアプリ学習を進めてきましたが、試しにやってみた聞き取りで、思っていたよりリスニング力が低いことがわかりました。
聞き流しやシャドーイングに取り組んでみたところ、単語を発音で覚えたことで、聞き取れる単語が増え、その結果、聞き取れる文章も増えました。
試行錯誤した結果、これからの学習で気をつけたいポイントを決めることができました。
この記事では、試してみた学習法とそこから考えたポイント、実際に取り組んでいる学習についてまとめています。
現状把握:自分のリスニング力を知る
まず、私個人の学習方法における「リスニング力」と「聞き流し」の定義を説明します。
リスニング力の確認には、台湾華語の学習書の例文音声を使用しました。
使用した例文:『単語と文法から学ぶ PAPAGO式台湾華語』から
今回のリスニング学習では、『単語と文法から学ぶ PAPAGO式台湾華語』(PAPAGO遊学村、アスク出版、2023年)を使用しました。
テキストの最終章Lesson 38から全例文23文を使っています。(それぞれ5~13単語)
リスニング力の確認方法
学習を始めてから3か月程度、これまでは声調・子音・母音などの基礎的な発音練習と、DuolingoやSuper Chineseといったアプリでの学習を進めてきました。
リスニング学習は始めていなかったので、現時点でのリスニング力を確認する方法として、
といった方法を取りました。
例文音声を聞く方法は、
といった方法です。
【結果】リスニング力が低く、目を通しただけでは聞き取れない
想定以上に、目を通しただけの例文の音声は聞き取ることができませんでした。
ちなみに、「學生(日本語:学生)」の正しい発音は〔xuéshēng〕ですが、発音を聞いて頭に浮かぶのは〔shueshen〕で、現時点で知っている中文単語の中で「shueshenみたいな音」=學生=学生と覚えているという状況でした。
例文を見て、漢字で意味がわかる単語が多く、文章を理解できた見誤りやすいため、
ことを決めました。
リスニング力向上のための学習方法:①聞き流し
目を通しただけでは聞き取れないと確認できたので、リスニング力を上げるための学習法を検討しました。
このときひどい喉風邪が長引いていたため、声を出さない方法を考え、
といった方法を取りました。
この「聞き流し」は、意味を理解しながら音声を聞くことで、台湾華語のリズムに慣れたらいいなという目的も含んでいます。
(私個人は、“いわゆる聞き流し(ただ音声を流しておくだけ)”では外国語を話せるようにはならないと考えていることをここに申し添えておきます。)
効果的な「聞き流し」のための準備:例文の発音を聞く
声を出さずに聞き流し学習の効果を上げるために、例文と発音を突き合わせる精読をしました。
『単語と文法から学ぶ PAPAGO式台湾華語』はその章で使われている単語とフレーズをまとめたページがあるため、辞書ではなくそのページを活用しました。
【結果①】発音を聞いた例文の聞き流しは効率が悪い
効果を高める準備をした例文で、毎晩寝る前の5分程度、聞き流しをしました。
聞き流しには、精読したLesson38の例文に加え、単語、練習問題の音声も流すことにしました。
『単語と文法から学ぶ PAPAGO式台湾華語』には、文法、単語の他に、その章の学習内容を使った練習問題のページがあります。このページは精読しませんでしたが、中文のリズムに耳が慣れたらいいなという観点でも聞き流しに含めました。
8日間の聞き流し学習の結果
聞き流しを毎晩寝る前の5分程度、8日間続けました。
- 初日(1月12日)
- 等倍で再生すると、一部、発音を覚えてる単語以外は聞き取れない
- 0.5倍速で再生すると、聞き取れる単語が増える
- 6日目(1月18日)
- 0.5倍速の再生速度に慣れてくる
- 0.75倍速までなら、一部の例文が理解できる
- 8日(1月20日)
- 等倍の再生速度に慣れて、一部の例文が理解できる
- 単語がわからず意味が理解できない例文が多い
5分程度ですが、8日間続けても聞いても意味を理解できない例文が多いという結果になりました。
結果として、再生速度には徐々に慣れることができましたが、聞いてもわからない例文が多かったです。
聞き流しからわかったこと
効率が悪いとはいえ、聞き流しで気づいたこともありました。
わからない単語に遭遇すると中文用の思考回路が途切れてしまう
覚えてない単語が聞こえると「中文理解用の思考回路」がスパーンと断ち切られて、続きを聞く意識が途切れてしまうことがわかりました。
今後、もっと長文を聞くことを踏まえて、わからない単語がきたときに、思考を止めないよう訓練する必要を感じました。
わからない発音は脳内でアルファベットに置き換わってしまう
発音がわからなかったとき、脳内でアルファベットに置き換わってしまう単語がありました。
文字では十二分にわかっているつもりだった「爺爺的車」も、発音の覚えが悪いときには
「yeah yeah 的 choaaa」
が脳内に浮かびました。
目を通しただけの音声を聞いたときと同様、土壇場で浮かぶのはアルファベットという状況。
なんとか聞いた音を注音符号で理解するように、こちらも意識しようと思いました。
聞き流し学習の効果を上げるためのポイント
精読した例文の聞き流しの効果が出なかった要因として、わからなかった単語の復習が不十分だったことが考えられます。
聞き流し学習では、例えば「1周した時点でわからない単語の音声を~回聞く」のように「音」の「意味」結びつきを強化する方法を取れば、リスニング力向上の余地はありそうです。
リスニング力向上のための学習方法②:発音練習した例文の聞き流し
これまでの聞き流しだけでは「単語の定着」と「リスニング力の向上」のどちらも進捗が悪いとわかったため、学習方法を再検討しました。
本来は最初から発音練習をするのがベターですが、年始から引きずっていた激重の喉風邪をの回復してから、発音する方法を始めることになりました。
リスニング学習の自分で発音できれば聞き取れるようになるというセオリーに基づき、次にシャドーイングという手法で発音練習をしてみました。
シャドーイングとは「聞いた音声の内容を、聞いた通りに発音する」勉強法で、特にリスニングに効果があります。一文を聞き取ってから再現するリピートと違い、シャドーイングは聞こえてくる英語のすぐ後ろを影(shadow)のように追って発話するのが特徴です。
出典:“【保存版】シャドーイング初心者におすすめのやり方・教材・効果を徹底解説! ”. シャドテンラボ. https://www.shadoten.com/lab/shadowing_for_beginner/ (アクセス日:2024年7月6日)
例文の発音練習①:注音符号を読んで発音する
まずはじめに、例文を注音符号で読み上げることからはじめました。
オンラインレッスンを受けたときに気づきを得た、①注音符号をパッと発音できない、②自分の発音→ネイティブの発音の順で聞くことで自分の発音のまちがいや日本語のアクセントが際立って聞こえる、という2点を踏まえ、まず最初に読み上げることにしました。
(関連記事: はじめて、台湾華語のオンラインレッスンを受けました。)
このときの発音練習は、例文に重ねて発音せず、例文の聞き取りと発音練習は完全に切り離して行いました。
例文の発音練習②:シャドーイングする
次に例文のシャドーイングをしました。一時停止せず、23例文を一気に再生します。(1文読み上げられたのち約2秒の間をあけ、次の例文が読み上げられます)
例文の再生には、アプリAudiproのリピートごとに指定した分だけ、再生速度を上げる機能を使います。
0.75倍速を超えると、お手本に追いついて復唱することがむずかしくなってしまい、0.65倍速がちょうどでした。
また発音しながら注音符号と声調を思い浮かべることにもトライしてみましたが、0.65倍速に差し掛かったあたりで処理ができなくなりました。
(参考記事:発音練習におすすめな音楽再生アプリAudipro「台湾華語学習、はじめの1冊。」)
【結果②】シャドーイングした結果、聞き取れる例文の数が増えた
シャドーイングという手法で発音練習をして例文を聞いてみたところ、全23文のうち、21文という大部分の例文が、音声を聞いて日本語の意味がわかる状態になっていました。
一方で、発音練習後も聞き取りができない文が2文残る結果となりました。
シャドーイング後の例文聞き取り結果 | |
---|---|
聞き取れる | 聞き取れない |
21 / 23 | 2 / 23 |
発音練習後も聞き取りができなかった原因と課題
発音練習後も聞き取りができなかった2文の共通点は、発音練習の時点でつまってしまっていた単語を含むという点です。
“請您告訴我這棟大樓的地址。”1では「這棟〔ㄓㄜˋㄉㄨㄥˋ/zhèdòng〕」と「大樓〔ㄉㄚˋㄌㄡˊ
/dàlóu〕」、
“你等我一下,我得寫封信給客人。”2では「得〔ㄉㄟˇ / děi〕」です。
ここから、
とわかりました。
発音練習後に聞き取れるようになった例文における課題
21文が聞いて日本語の意味がわかる状態になっていました。
しかし、私自身の体感としては、「聞き取れる」ではなく「聞き取れると感じる」状態になっていました。
どのような状態かというと、
のような状態です。
より具体的に説明すると、“爺爺的車,我已經還他了。”3という例文の場合、
音声で冒頭の〔ㄧㄝˊ˙ㄧㄝ
/yéye〕(=爺爺)が聞き取れた時点で、日本語訳の「祖父(父方)の車はもう本人に返しました。」が頭に浮かびます。
そうすると、続きの「我已經還他了」も同じく頭に浮かびます。
このとき、もし「我已經還他了」に聞いてもわからない音があったとしても、感覚としては「聞き取れた」と思っている可能性がゼロではないという感覚でした。4
これは、英語のリスニングで聞き取れなかった箇所を前後の文脈から予測する感覚にも近いと感じました。
理解の判別がむずかしくなってしまったため、台湾華語のリスニング力か向上しているか、つまり聞き取れるようになっているかの確認方法を検討しました。
聞き取れるようになったかの確認方法①:範囲を広げる
学習書の1つの課の例文を覚えてしまったため、範囲を変えて、別の例文でその単語を聞き取ることができるかを確認してみました。
範囲をLesson1~29に変えて例文音声を聞きはじめたところ、Lesson38(シャドーイングした課)の単語に出会った際に、聞いてわかるものが増えていると確認することができました。
シャドーイングの手法を通じて単語を発音でインプットすることで、音声を聞いて意味が理解できる単語の数が増え、結果として、聞き取りができる中文を増やすことができたようです。
聞き取れるようになったかの確認方法②:別の教材を使う
学習書全体の例文音声に慣れてきた場合は、完全初見の教材を使う方法も有効でした。
YouTubeで自分のレベルにあった動画を探して聞く方法です。
いろいろな教材で、なるべく客観的に自分の進捗を確認するようにしています。
今後の台湾華語学習で気をつけたいポイント
以上、台湾華語のリスニング力向上を目標に、どのような学習法で聞き取りができるようになるのか、段階的に検討してみました。
また、今後の台湾華語学習で気をつけたいポイントも見つかりました。
実際に始めている学習方法:The Echo Method・ハミング
気をつけたいポイントを踏まえ、新たにはじめた台湾華語の単語学習では、「音」を意識した学習法を取っています。
具体的に、単語帳でやっている学習法(一部)を紹介します。
このやり方は、体力と気力がいるため全部できないときもありますが、ネイティブの「音」や「リズム」を定着させることを意識して練習しています
ここまで読んでくださった方、お付き合いいただいた方、ありがとうございました。
引き続き、台湾華語学習をがんばっていきます。
言えるようになった例文をGoogle音声入力で試してみましたが、発音がまちがっているものも多く、発音練習はまた別でがんばらないといけなさそうです・・・!!
脚注
- 引用:PAPAGO遊学村 『単語と文法から学ぶ PAPAGO式台湾華語』アスク出版、2023年、p.212 ↩︎
- 引用:PAPAGO遊学村 『単語と文法から学ぶ PAPAGO式台湾華語』アスク出版、2023年、p.214 ↩︎
- 引用:PAPAGO遊学村 『単語と文法から学ぶ PAPAGO式台湾華語』アスク出版、2023年、 p.213 ↩︎
- Twitter, @monaca1st, https://twitter.com/monaca1st/status/1749442042562757026?s=46, (アクセス日:7月10日) ↩︎
- YouTube, 臺大開放式課程 NTU OCW「英語語音學一 02. First Peek into the World of Phonetics (2020 updated)」(https://youtu.be/7EcBLOA6kXo?si=AixC6CGoVcLx1KLI&t=1644, アクセス日:7月10日) ↩︎
- YouTube, Taiwanese Mandarin With Miss Lin「06 Taiwanese Mandarin Tones | Tips & Practice | FOURTH TONE | 8 Confusing Vocabulary」(https://www.youtube.com/watch?v=7A_Xg6kWldU&t=226s, アクセス日:2024年7月10日) ↩︎